映画『アンダー・ユア・ベッド』感想※ネタバレ※全人類に見て欲しい
私はとんでもない映画を見つけてしまいました。
24年間観てきた邦画の中でランキングを付けるとするならば、トップ3には躍り出るでしょう。
それくらい好きでした。5段階で表すなら、星5億です。
そんな映画『アンダー・ユア・ベッド』の感想を述べさせて頂きます。
◇あらすじ
誰からも必要とされず、家や学校で無視され続けてきた三井直人(高良健吾)は、学生時代に初めて名前を呼んでくれた女性との11年ぶりの再会を切望していた。だが、ようやく再会したが彼女は別人のように変貌し、疑問に思った三井は彼女を監視し始める。自宅に潜入してベッドの下で真上の彼女に思いをはせる三井の行動は暴走していく。
https://movies.yahoo.co.jp/movie/367453/story/
◇感想
「ベッドの下に潜り込んで好きな人を見守る」
このあらすじだけ読んで、まず江戸川乱歩の『人間椅子』を思い浮かべましたし、同時にこれは絶対に私の好みの映画だと確信しました。フェチズムであったり、倒錯的な恋愛話がとても好きなので。
最初は変態的な映画なのかと思って鑑賞しましたが、最後まで観て「これは純愛映画」だと個人的には思いました。原作小説はホラーカテゴリーらしいですが。(今度読んでみたいです)
主人公の三井くんは変態なのではなく世間的に見るとズレてしまっているのだろうと。
不器用で純粋な愛がゆえの行為だったのだろうと。
私は三井くん目線で見ているので彼の行為を「純愛」と定義しますが、もちろん客観的に見たら彼のしていることは紛れもない犯罪であり、ただの気持ち悪いストーカーです。
ただ、この世には三井くんのような人間が一定数存在しているんだなと思うと胸が痛くなります。なんとも言えない気分になります。
文学的な言葉と独白調が、この映画をただの変態映画ではなく文学的作品にしていると感じました。
三井くんの社会不適合者っぷりが本当にリアルなんです。仕草、表情、口調など全て。
夢か現実か妄想か事実かわからなくなる場面があるのですが、自身にとって都合の良い妄想をしているあたりもなかなか……
妄想上の三井くんは性行為もスマートにしていたので、現実かと思った私はびっくりしすぎて声出しました。
え、三井くんやることやってるじゃん。というかこんなことやってたら千尋さん流石に忘れないでしょ。後出しやめてくれ。お願いだ頼む夢であってくれと固唾を呑んで見守っていました。結果妄想(夢)だったので歓喜。
総合すると高良健吾さんの演技力に驚きですね(好きになりそう)
あと高良健吾さんすっごいイケメンだな。
また、終始作品のテーマが一貫していたのも良かったです。
三井くんの願いは「千尋さんからもう一度名前を呼ばれたい」最後までこれだけです。
ラストはこの願いが叶います。
交番で己の罪を自首している時に名前を呼ばれ、三井くんが振り返ったところで映画は終わります。
不法侵入をしたり盗聴器を仕掛けたり、千尋さんのストーカーをしたうえに彼女の旦那を殺害して警察に捕まった三井くん。
これだけ聞くとバッドエンドでしかないですが、三井くんの立場からすると「千尋さんに名前を呼んでもらえた」「好きな人を助けることができた」という2点で最高にハッピーエンドなんですよね。
三井くんはもうこの思い出だけで死ぬまで生きていけるんだろうな。
……千尋さんはあのまま旦那と離婚して三井くんと結ばれて…というエンドがあってもいいんじゃないか?いや、ない。
三井くんは千尋さんが好きだけど、「自分のものにしたいかはわからない、幸せにする方法がわからない」のです。そして同時に「幸せに」という花束を送るくらいなので、彼は千尋さんと一緒になりたいのではなくただ彼女の幸せを切に願っているのですね。
クライマックスで千尋さんの「助けて!」という叫びを聞き彼女を救い、彼女の代わりに不幸の元凶である旦那を殺しました。きっとこれで千尋さんは穏やかに暮らせることでしょう。旦那が生きている限り、追いかけてきますから。
ですので、あのエンディングが1番ハッピーエンドなんだろうな、と個人的には思いました。
私はこの映画を観てから、三井くんのことが愛しくて仕方がないです。
彼のことばかり考えています。
私も三井くんの名前を忘れないでいたい。